離婚ブログ
過去の記事
- 10月
- 7
- Fri
夫婦の間に未成年の子がいる場合には、離婚時に、子の親権者を妻か夫のどちらにするか決めなければなりません。
離婚後も、子が父及び母の双方と良い関係を築き、心身共に健やかに成長していけるためには、どのような面会交流が望ましいかをよく考え、条件を定めておくことが大切です。1 面会交流の条件を定める方法
1.協議(夫婦での話合い)、2.調停があり、調停でも意見が合わない場合には、3.審判に移行し、裁判官が条件を決定することになります。
2 審判における判断要素
では、面会交流はどのような観点で定められるのでしょうか。裁判所は、「子の福祉に合致するか」、つまり、子にとって何が望ましいかという観点で判断し、その判断においては、以下のような要素が考慮されます。
(a)子の事情
子の意思(15歳以上であれば子の意見を聞かなければなりません。)、子の年齢(子の年齢が高くなるほど面会による動揺などの影響のおそれが少なくなります。)、面会交流による子への影響が出ないか等が考慮されます。 (b)親権者の事情
面会交流をすることによる子の養育監護への影響が出ないか等が考慮されます。 (c)親権を得ない親の事情
面接交渉をさせない方が良い事情の有無(たとえば暴力や暴言)等が考慮されます。3 面会交流の内容
面会交流の条件は、定型的なものがあるわけではなく、個々のケースに応じて柔軟に定めることが可能です。
月に何度会うのか、夏休みや冬休みなどの長期休暇には宿泊を伴うのか、電話やメールは自由にできるのか、お小遣いは渡して良いのか、子の写真送付などの間接的な交流を認めるのか等につき、子の福祉を第一に考えながら定めていきます。
4 定めた面会交流が実現されない場合
調停または審判で定められた面会交流が実現されない場合には、親権を得なかった親は、再度調停を申し立てる、履行勧告(履行するよう裁判所に注意してもらう)、間接強制(約束を破る度に罰金何円支払うという方法)の方法をとることが考えられます。
なお、履行勧告や間接強制の方法によることができるのは、面会交流の条件を調停または審判で定めた場合に限られます。 子が父母双方の愛情を感じ、安心して信頼関係を築いていけるような面会交流を実現できるよう、きちんと条件を定めておくことが大切です。
面会交流は、離婚の前後を問わず話し合うことができますので、お気軽に弊所までご相談下さい。
- 10月
- 4
- Tue
名古屋丸の内本部事務所で勤務しております,弁護士の中内良枝です。 最近ご相談が増えている「離婚とペット」をテーマにお話しさせていただきたいと思います。 この記事をお読みの方の中にも,現在ペットを飼っている方は多くいらっしゃるのではないでしょうか。私が勤務している名古屋丸の内本部事務所の近くでも,犬の散歩をしている方をよくお見かけし,犬が大好きな私は,いつも心を和ませてもらっています。 今や,ペットは家族同然の存在として,一緒に暮らしている方も多いでしょう。 そんな大切な存在のペットだからこそ,夫婦が離婚する際にどちらが連れて行くのかは,大問題になることがあります。夫婦だけではありません。子どもにとっても,兄弟姉妹のように育ってきたペットと離れて暮らすことになるのは,一大事です。 しかし,この問題に対して,法律家の立場として回答するなら,いかに大切なペットであっても,民法上は「物」として扱われる,ということになります。つまり,ペットは,離婚手続上,財産として考えられるということです。 したがって,夫婦が離婚する際は,婚姻期間中に夫婦で飼い始めたペットについては,原則的に,夫婦の共有財産として,財産分与の手続の中でどちらが引き取るのかを決めることになります。 とはいえ,ペットは命ある生き物ですので,車などの動産類や不動産といった本来的な「物」とは異なり,従前はどちらが中心的に飼育していたか,現在はどうか,別居後の住環境はペットの飼育に適しているか等,ペット特有の様々な事情を考慮する必要があるでしょう。 なお,結婚前から夫婦の一方が飼っていたペットの場合は,夫婦の共有財産にはあたりませんから,原則として,結婚前から飼っていた方が引き取ることになります。 現在離婚を考えていて,ご夫婦でペットを飼っていらっしゃる方は,ペットの引き取りについても上記のような法律問題が生じますので,離婚と同時に解決する必要があります。離婚・男女問題のご相談と合わせて,お気軽に当事務所の弁護士までご相談下さい。 名古屋丸の内本部事務所 弁護士 中 内 良 枝
- 8月
- 10
- Wed
1 離婚する際,気になるのは離婚後の生活です。
「やっぱり気が変わった。」といって慰謝料を請求されないか,養育費は約束通り支払ってもらえるか等,不安はつきません。
当事者間で養育費の支払いについて合意したとしても,「収入が減った。」,「再婚した。」などと理由をつけて相手方が養育費の支払いをやめてしまうことがあります。
そのような場合,公正証書がなければ相手方の財産から養育費を強制的に回収するには訴訟を起こして勝訴判決を得る必要がありますので,実際に支払いを受けるまで長い時間がかかってしまう可能性があります。
また,慰謝料の請求はしないという合意をした場合であっても,後になって相手の気が変わるかもしれません。離婚協議書を作成していたとしても,その書面を紛失してしまうと,慰謝料の請求はしないという合意内容を証明することは困難になります。
2 離婚公正証書には以下のようなメリットがあります。
(1)裁判における証拠としての価値が高い
公正証書は,法務大臣に任命された公務員である公証人が作成しますので,信用性が高く,公正証書の記載内容は法律的に有効なものであると認められます。
(2)もし紛失してしまっても安心
公正証書が作成されますと20年間,公証役場に保管されることになりますので,高い安全性が確保できます。もし公正証書を紛失してしまっても,公証役場で謄本(写し)を出してもらうことができます。
(3)早急に強制執行できる
相手方が任意に養育費や慰謝料などの金銭を払わない場合,銀行口座や給料を差し押さえるなどの強制執行手続きを行う必要があります。
予め公正証書を作成しておくと,訴訟を提起することなく,強制執行手続により養育費等を回収することが可能となるので,時間や費用を節約できます。
3 公正証書を作成するには,事前に離婚条件について合意を成立させておく必要があります。
合意すべき離婚条件に漏れがあれば,公正証書を作成しておいても,将来,トラブルに発展してしまう可能性があります。 公正証書には,上記のようなメリットがある反面,強力であるがゆえに,その内容については慎重に検討しなければなりません。
その内容によっては,離婚後に権利行使ができなくなったり,再協議を要することになりかねません。財産分与,養育費,子どもとの面会交流や慰謝料請求など,検討を要する事項はたくさんあり,当事者だけで漏れ無く決定するのは大変です。
弊所では,離婚公正証書の作成を検討されている方はもちろん,離婚条件を協議中の方,離婚後の生活に不安を感じている方等は,是非一度,弊所にご相談ください。
東京自由が丘事務所弁護士 田村 祐希子
- 6月
- 6
- Mon
1 我が国における離婚手続き
我が国において,離婚をすることのできる方法の内,主なものは,①協議離婚,②調停離婚,③裁判離婚の3つです。
2 協議離婚
この内,協議離婚が一番一般的で,夫婦の話合いで離婚をするものです。
裁判所の手続きを経ないので,裁判所の予定が関係なく,最も早く離婚が成立する手続きであるといえます。
ただ,協議離婚をするためには,夫婦の両方が,離婚をすることとその条件について合意ができなければなりません。
そこで,相手方が離婚をすることに同意をしてくれない場合,あるいは,離婚の条件について夫婦で折り合いが付かない場合,裁判所の手続きを経て離婚することとなります。
弁護士が関与するのは,そもそも当事者だけではなかなか解決できないからであることが多いので,協議離婚での裁判所の手続きを執らざるを得ないケースが多いです。
3 調停離婚と裁判離婚
裁判所の手続きといっても,日本の法律では,いきなり離婚の裁判を起こすことはできないこととなっています。
調停前置主義といって,まずは,裁判所での話合いの手続きである調停手続きを経て,それでも話がまとまらない場合に離婚裁判を起こすことができることになっています。
これは,夫婦や家族の間の問題については,なるべく当事者の話合いで解決をすることが望ましいために設けられている手続き的なルールです。
どうしても相手方が離婚に応じる気持ちがないという場合には,裁判所に,早々に調停手続きを打ち切ってもらって訴訟を提起するという方針を採ります。
しかし,相手方が条件次第では離婚に応じるという気持ちがある場合には,調停をまとめていく方が早期に解決ができる場合もあります。
また,相手方に離婚に応じる気がないと考えて,早々に打ち切ってもらって訴訟を起こすつもりで調停を起こしたところ,意外に相手方が離婚に前向きになったためにそのまま離婚調停を続けていく方が早く良い内容で離婚が成立したというケースもあります。裁判所で調停が成立すると,そこでの約束の多くには裁判で判決があったのと同じ効力が認められますので,その効果は大きいです。
4 離婚事件における手続き選択と方針決定について
このように,離婚事件では,最初から先を見通して解決方針を考えるとともに,相手方の出方に応じて柔軟にその方針を修正していくことが重要です。
私達,弁護士法人愛知総合法律事務所の弁護士は,依頼者の皆様が,なるべく早く,納得のいく条件で離婚することができるよう,日々努力しています。
離婚のためのどの手段を選択し,どのような方針で進めていけばよいのか,どのようなことが問題になりそうであるのか等,是非一度,私達に何でもお気軽にご相談ください。
名古屋丸の内本部事務所 弁護士 檀 浦 康 仁
- 5月
- 2
- Mon
離婚事件において、大きな争点の一つになりがちなのが、財産分与の問題です。
裁判所で判断を仰ぐ場合、夫婦が婚姻後に築いた財産については、その名義の如何を問わず夫婦の共有財産とされ、夫婦でそれぞれその2分の1ずつを取得することとされるのが財産分与の原則です。
この財産分与の際に、しばしば不動産の価格について争われることがあります。
不動産の評価方法には様々なものがあり、必ずどれか一つの評価方法に決まるわけでは無いため、当事者双方が自己に有利な評価方法を主張して譲らないと、解決が長引いてしまうことがあります。
ここで、解決が長引いてもいいから、自分が納得いく評価方法を主張する、というのも一つの進め方であるとは思うのですが、それを貫くとかえってマイナスになってしまうこともあります。
以前に担当した案件で、名古屋市内の中心部の一等地にある不動産の評価方法が争点になっているケースがありました。
このケースは、調停において不動産の評価方法や分与の割合について双方が自分の言い分に拘って譲らず、また双方当事者の感情的なもつれもあって、非常に解決が長期化していました。その結果、一時的に高騰していた名古屋の不動産の市況が沈静化してしまい、引き合いの来ていた非常に高額での売却の話も流れてしまったのです。
最終的には、不動産の評価方法、評価額は双方の言い分の妥協点を探って解決したのですが、一時期の評価額に比べて大幅に低下した額で不動産を評価して、一方がその土地を取得することになりました。
結果的には、自分の言い分を譲らなかったことで、後から「あのときに、不動産を売却できていれば」と双方ともが悔やむことになりました。
これとは対照的に、別のケースでは、同じく名古屋市内の不動産が問題となったケースでしたが、「最終的な分与割合はともかく、不動産の売却は早期に進める」という方針で双方が合意して不動産の売却を先に進めて、財産分与全体も比較的早期にまとめることが出来たこともありました。この案件は、双方が「早期に離婚したい」という点で一致しており、また同じ名古屋市内でも中心部の一等地というわけではなかったので、弁護士同士で協議して、双方にとって合理性のある協議が出来たという事情もありました。
不動産の評価に限らず、どこまで自分の言い分に拘るかについては、「引き際」を見極めることも大事なことです。
弁護士に依頼する、しないは別として、判断に迷ったときには弁護士に相談してみると良いのではないかと思います。
名古屋丸の内本部事務所 弁護士 勝又 敬介