離婚ブログ
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初めまして、昨年の8月から岐阜大垣事務所にて勤務しております石井健一郎(いしい けんいちろう)と申します。
岐阜市、大垣市及びその近郊の皆様におかれましては、今後ともお引き立て頂きますようお願い申し上げます。
さて、早速ではありますが、離婚の法律相談を受けておりますと、「親権はこちらが欲しい!」「慰謝料を払って欲しい!」等と既に明確な獲得目標を持って相談に来られる方が多いですが、その他方で「離婚はしたいけど何を決めて良いのか分からない」と相談に来られる方も少なからずいらっしゃいます。
そこで、簡単にではありますが、今回は、離婚をする際に最低限決めておくべき事項についてお話し致します。
⑴親権者
お子様がいらっしゃる場合には、親権の所在は必ず決める必要があります。
この時、親権者は必ず一方に定めなければならず、離婚後も共同親権を行使する旨を定めることはできません(ただし、我が国のこのような制度は比較法的には圧倒的に少数派であり、諸外国の多くは全面的あるいは部分的にも共同親権を認めています。共同親権の是非については、別の機会があれば、その時に考察してみたいと考えています)。
⑵養育費
養育費は、非親権者と親権者の協議時の収入を比較し、養育費算定表に基づいて決めます。
もっとも、協議段階では必ずしも養育費算定表に従う必要はありません。
また、一般的に養育費は、「(非親権者)は、(親権者)に対し、毎月末限り〇〇万円を支払う。」との形で決めることになりますが、時々のライフイベント(例えばお子様の進学等)のタイミングで別途の支払いを約束しておくこともあり得ます。
⑶面会交流
そして、非監護親と子どもの面会交流の頻度や方法、条件について定める必要があります。
特に面会交流の頻度については、大体の場合において月に1回程度と決まります。もっとも、この『月1ルール』は、多くの場合、「仮に調停や訴訟に持っていったとしても裁判所がそのように判断するから」という何ともしっくり来ない理由に基づいているようです(裁判所としては、親権者の負担を鑑みて出来るだけ安定的に実施の継続が見込める頻度を踏まえてそのように決めているのかも知れませんが)。
ただ、個人的には離婚の問題と子どもの問題は別物だと考えていますので、ある程度成長したお子様(中学生程度以降)の面会交流については、お子さまの本人の意思の下で自由に実施されても良いように考えています。
⑷財産分与
基本的には夫婦の共有財産につき折半して取得することになります。
ルールとしては単純明快ですが、主に
①どの時期を基準に折半するのか?
②そもそも何が「共有財産」に含まれるのか?
という2点で問題になることが多いように思われます。
①については、原則的に、離婚に至る過程で別居を経ている場合には別居時を基準とし、同居が継続していた場合には協議時を基準時に定められます。
調停や訴訟になった場合には、「実質的な婚姻関係の破綻時」を基準に定めるため、そのためのチェックを経ることになりますが、大体の場合において協議時と同じパターンに落ち着くことになります。
②については不動産、自動車、預貯金、株式、有価証券、生命保険…といった比較的資産価値の高い財産に関して取り決められることが多いです(厳密に言えば、婚姻中に購入した家電や家具も分与の対象となりますが、一般的にはこれらの財産については資産価値が無いことから、早期の離婚に向け意図的に分与の対象から除外することが多いように思われます)。
もっとも、②は財産ごとに各論的な問題が含まれていることから、詳細は別の機会に説明いたします。
⑸慰謝料
種々ある理由の中でも「離婚がてら不貞行為やモラルハラスメントに関して請求したい(あるいは請求されている)」という相談が多いように思われます。
この点、そもそも、慰謝料は、厳密には不法行為(民法第709条)の問題であるため、必ずしも離婚時に決めておかなければならない事項ではありません。もっとも、実際問題としては、婚姻関係の清算の場面である離婚時において一緒に解決が図られることになろうかと思います。
肌感覚で申し上げれば、不貞行為に関する慰謝料については「不貞があったか否か」という事実の問題であるため、事実を立証できる証拠等を握っておけば慰謝料に関しての取決めも比較的まとまりやすいかな、という印象を持っております。
他方で、モラハラについては「その言動がモラハラにあたるのか」という評価の問題になりますので、協議での慰謝料について取り決めは困難であることが多いように思われます(評価の問題である以上、当事者間の価値観に食い違いが生じているためです)。
したがって、慰謝料を求めたいという強い希望のある方は、求める原因に応じて協議を継続するのか、速やかに調停に移行した方が良いのかといった戦略を固めておく必要があるように思われます。
⑹その他
見落とされがちな問題として、家財の撤収の問題があります。
この問題は、別居時に退去者の所持物が残置されている場合に、
①この残置物をいつ取りに行くのか
②誰が取りに行くのか
という2点に尽きます。
本来であれば、言わずもがな日程を調整して授受をすれば良いのですが、離婚を検討している以上、当事者双方が既に高葛藤状態にあることが多く、持ち出しの態様によっては「撤去に乗じてこの家財が盗まれた!」「そんなもの盗っていない!」と二次的な紛争を惹起することがあり得ます。
そこで、家財が残置している場合には、①いつ②何を③どのような方法で持ち出すのかをあらかじめ協議で定めておくことが、穏当な方法といえるでしょう。
以上、一般的に協議で定めておくべき事項について説明を致しましたが、これらはあくまでも一般論であり、本当に定めなければならない事項は個別のケースによって異なります。
そのような意味でも、弁護士に相談されることがご自身にとって一番納得できる回答を得やすいのではないかと思います。
弊所は離婚に関する相談は、初回無料となっております。つきまして、「離婚を求めている/求められているけど何を決めて良いのか分からない!」という方も一度弊所までご相談に来ていただければ幸いです。
岐阜大垣事務所弁護士 石井 健一郎
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離婚事件を担当していると,まず最初に婚姻費用の支払いが問題となることがほとんどです。
その中でも,
別居した際に,他方配偶者が預貯金を引き出して持ち出した点が問題となることがよくあります。
この点について,
一方当事者が別居にあたって,夫婦共有財産である預貯金を持ち出した場合には,これを生活費に充てたとしても,その精算は原則として財産分与においてなされるものと考えられています。
この考えについては,一般の方からするとかなり感覚と異なっている点かなと日頃感じるところです。
ただ,あくまで上記の考え方は原則ですので
他方当事者が,持ち出した金額について明確であって争いがなく,またそれを婚姻費用に充当させることに異論がない場合等には,これを差し引くことも許される場合があります。
そうすると,実際の調停の場合には,婚姻費用の先払いとして,婚姻費用の場面で精算されることがほとんどである印象です。
どちらが正しいかは微妙なところですが,私としては,比較的資産に余裕がある人であれば,後の財産分与での精算で問題ないと思いますが,仮に唯一の財産を持ち出したようなケースであれば,むしろ今後の生活費として持ち出したという認識だと思うので,婚姻費用の先払いとして解決することが適切なのではないかと思います。
いずれにせよ,きちんと主張すべき問題だと思われます。
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愛知総合法律事務所岡崎事務所は,東岡崎駅南口徒歩1分の場所に位置しております。
初回法律相談は無料で実施しております。
婚姻費用を含む離婚の問題でお悩みの方は一度弁護士にご相談されることをおすすめいたします。
岡崎市,幸田町,西尾市,安城市,碧南市,刈谷市,知立市,高浜市,豊田市を含む西三河地方の皆様からのお問い合わせをお待ちしております。
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愛知総合法律事務所のホームページをご覧の皆様,春日井事務所の弁護士の池戸友有子です。
前回までは相続分野についての投稿をしておりました。
今回からは離婚分野についてのコラムをお届けしようと思います。
離婚には,協議離婚,調停離婚,裁判離婚の3種類があります。
協議離婚,調停離婚については,話し合いを前提とするものですので,双方が条件に納得して離婚に同意すればどんな理由での離婚でも可能です。
一方で,双方離婚自体には同意していても,条件面で折り合いがつかない場合には裁判離婚となります。
裁判離婚が認められるには,法律上の「離婚原因」に該当することが必要です。
この法律上の「離婚原因」として民法では以下の5つが定められています。
①不貞行為
②悪意の遺棄
③3年以上の生死不明
④回復の見込みがない精神病
⑤その他,婚姻を継続しがたい重大な事由
多くの場合に問題となるのが,性格の不一致が⑤にあたるのか,という点です。
多少の性格の不一致等では「婚姻を継続しがたい重大な事由」とまでは言えない可能性があります。
もっとも,性格の不一致から派生する言動等がモラハラやDVにつながっているなどの細かい事情によっては結論が変わることもあるかと思われますので具体的な事情を検討する必要があります。
以上のとおり,離婚をどのように進めていくのかは,相談者様それぞれの具体的事情を細かく検討し,方針を定めて進めていく必要があります。
離婚の問題は,当事者間では冷静になりにくい面もあるかと思いますので,まずはお気軽に弁護士にご相談いただくのがご納得のいく離婚をするための第一歩かもしません。
離婚に関する相談は初回無料(面談相談は1時間無料)ですので,ゆっくりお話をお聞かせください。
愛知総合法律事務所春日井事務所には,男性弁護士1名,女性弁護士1名が在籍しております。
事情によっては弁護士の性別のご要望も承ることができる場合がありますので,ご不安な点は相談受付のお電話の際にお伝えください。
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- 19
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今となってはとりあげるのが遅いと言われても仕方がありませんが,最高裁は,不貞相手である第三者に対する離婚慰謝料請求は,特段の事情がない限り,原則として認められないとの判断がなされました(判決文はこちら)。
いろんなところで,この判決に意味合いについてはすでに解説されているところですが,本件はあくまでに不貞相手に対する「離婚慰謝料」について判断したものですので,不貞慰謝料の請求自体は今後も否定されるものではありません。
ただし,当該判決があってかどうかはわかりませんが,不貞相手への不貞慰謝料請求で認められる金額は,低くなっている感触は間違いないと思います。
しかし,一般の方の感覚からすると,やはり不貞相手に求める慰謝料の金額は,現在も下がっておりませんし,むしろ弁護士からすると高額な印象は否めません。
そんな中で,当事者間で裁判で認められている金額の感覚からするとかなり高額な金額で示談しているような印象があります。
あくまで私的自治なので,どこまで司法が介入するのか,という難しい問題がありますが,不貞行為とその賠償金額はそう簡単に決すべき問題ではないことは間違いないと思います。
この点で悩まれている方は,一度弁護士に相談すべきです。
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日頃のよくある相談で
別居になったときの引越し費用等は負担してもらえないのか
という相談があります。
ここで,先日の記事でも書いたとおり,裁判所においては,双方の収入から基礎収入等を計算して婚姻費用を算出する,いわゆる標準算定方式が一般化しています。
このため,引越し費用等の実費を負担させることは基本的に上記の考え方とはなじまないと思われます。
しかし,上記のように別居しなければ発生しなかった費用について,少しでも相手方に負担させれないかどうかについて参考となる近似の裁判例があります(東京家裁平成31年1月11日審判 日本加除出版「家庭と法と裁判」30号・99頁)。
同審判は,
妻である申立人が別居に伴い新たに賃借した住居費の一部を相手方に分担することを裁判所が命じたものです。
具体的には,新しく借りた賃貸住宅の賃料10万0625円のうち,標準算定方式で考慮される2万7940円を控除した7万2685円を,互いの収入に応じて按分させたものです。
この審判は,算定方式で計算されるよりもかなりの金額の増額が認められますが,当該事案が
相手方が高所得者であること,申立人がほとんど収入がないこと
相手方が不貞行為を行ったのちに,申立人らを自宅から出ていくことを強く求めて申立人らを退去させたこと
といった事情を考慮して,「公平の観点」から相手方に新しい住居の家賃の応分の分担を認めたものです。
このことから,この審判は広く一般化はできないものと思われますが,有責配偶者から強く自宅からの退去を求められるケースでは参考になるかもしれません。
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